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写真企画〜食べもの万華鏡

暖か色のお茶の友

森田 満樹

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anpo1 早いものでもう年が明けてしまった。仕事でゆっくり出来ない人もいるかもしれないけど、外が寒いこの季節は温かいお茶が恋しい。そしてお茶うけにはタイミング良く続々と店頭に並びだした干し柿だ。

 ちなみに干し柿は、そのままでは食べられない渋柿を乾燥させることで、渋柿のタンニンが可溶性から不溶性に変わって渋味がなくなり甘味が強く感じられるようになるのだそう。完全に乾燥させずに、水分を残して果肉がまだ柔らかい状態でも渋味がなくなるが、カビが生えやすく長期間の保存はできない。その水分を残した干し柿を、硫黄で燻蒸してある程度保存が利くようにしたものを、あんぽ柿というそうだ(最近は無燻蒸の商品も見かける)。

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クリームチーズとクラッカーに載せて

クリームチーズとクラッカーに載せて

ヨーグルトと和えてさっぱりと

ヨーグルトと和えてさっぱりと

暖かいお部屋で凍らせたあんぽ柿を

暖かいお部屋で凍らせたあんぽ柿を

 さてどれを買おうか? ちなみにスーパーなど量販店での価格は1パック480円位から600円位で、同じ産地のものでも柿の大きさで1パックに3個から6、7個くらい入っている。おおざっぱに比較するとコンビニで買えるアイスクリームやシュークリームと同じ位の値段の幅だろうか。

 試しにあんぽ柿をいくつか買ってみた。人間不思議なものでこうやって並べてみると情報が多い物に「親近感」がわいてくる。パッケージからか、産地から連想される情報からか、テレビCMなのか、「親近感」は人によって様々だろう。今回私にとっては福島のあんぽ柿が3年ぶりの生産出荷ということでことさら情報量が多かった。産地の思いや放射性物質の検査の取組み、生産者の苦労などを聞いていたので一番親近感がわいた。パッケージの表示にも力が入っていることがわかる。二番はやっぱりその地域の景色が目に浮かぶ地元のあんぽ柿。

 「親近感」って商品にとって大きな要素だと思う。顔写真やキャラクターでは得られない、その商品を買ってくれる人の気持ちをぐっと引き寄せる情報から得られるものだ。
 あんぽ柿はたくさん買ってしまったので色々な食べ方で美味しくいただいた。(菅 いづみ)

<参考文献>
干し柿生産出荷実績調査2011年度

執筆者

森田 満樹

九州大学農学部卒業後、食品会社研究所、業界誌、民間調査会社等を経て、現在はフリーの消費生活コンサルタント、ライター。

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