科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体

執筆者

瀬古 博子

消費生活アドバイザー。食品安全委員会事務局勤務を経て、現在フーコム・アドバイザリーボードの一員。

今月の質問箱

コーヒーは1日に何杯まで飲んでよい?

瀬古 博子

キーワード:

妊婦はカフェイン摂取を制限

 仕事の合間にちょっとコーヒーを1杯、という方は多いと思います。社団法人全日本コーヒー協会によれば、日本人の平均的なコーヒー飲用杯数は1週間あたり約10.9杯。ただし、これは中学生から79歳までの調査結果なので、中高生を除外すると平均値はもっと多くなります。年代別にみると、もっともよく飲むのは40~59歳で、約14.6杯。この年代では、1日に約2杯飲んでいることになります。

 では、コーヒーの健康への影響はどうなのでしょうか。コーヒーの成分、カフェインについてはさまざまな情報があり、海外では妊婦などに対し、摂取量の制限について助言している国もあります。

 例えば、英国の食品基準庁では、妊娠中の女性に対し、カフェインを1日に200mg(コーヒー約2杯分)までに制限するように助言しています。多量のカフェインが、赤ちゃんの出生時低体重をもたらし、のちの人生の健康リスクを増加させるおそれがあるためです。また、高濃度のカフェインは自然流産を誘発するかもしれないとしています。ただし、妊婦でもコーヒーを断つ必要はないし、カフェインは紅茶やココア、チョコレートなどいろいろなものに含まれるので、トータルの摂取量で制限すればいいということです。

 また、カナダ保健省では、少量のカフェインは健康な成人には覚醒や集中力増加などのよい効果をもたらす可能性がある一方、感受性の高い人には不眠や頭痛、神経過敏などを生じさせるおそれがあるとしています。カフェイン摂取が1日に400mg(237mlのマグカップでコーヒー約3杯分)以内であれば、健康的な成人にとって、副作用的な影響はみられないとのことです。ただし、やはり妊婦、そして子どもでは、よりリスクが高くなる可能性があるので、子どもを産む年代の女性は300mg(マグカップ約2杯分)までとし、12歳以下の子どもについては、体重1kg当たり2.5mgまでにするよう推奨しています。

市販の飲料のカフェイン含有量は?

 子どもはコーヒーを飲みませんが、紅茶やお茶、ソフトドリンクなどがカフェイン摂取源となります。また、マテ茶やガラナなどの飲料もカフェインを多く含むといわれます。最近では、エナジードリンクといって、カフェインが高濃度に含まれる飲料も見られます。それぞれのカフェイン含有量はどのくらいなのでしょうか。

 飲料100ml当たりの一般的なカフェイン含有量は、コーヒーでは60mg、紅茶では30mg、煎茶では20mgです(文部科学省、日本食品標準成分表2010)。

 市販の飲料のカフェイン含有量について、ホームページに掲載されている商品情報をもとに、いくつか見てみました。

●コーヒー
ワンダ モーニングショット 100g当たり 約60mg
ブレンディ オリジナル 100ml当たり 70mg
ボス レインボーマウンテンブレンド 100g当たり 約80mg
●紅茶
キリン午後の紅茶 おいしい無糖 100ml当たり 12mg
シンビーノ ジャワティストレート レッド 100ml当たり 15mg
●緑茶
お~いお茶 まろやか 100ml当たり 6mg
サントリー緑茶 伊右衛門 100ml当たり 約10mg
お~いお茶 玉露 190g当たり 38mg
●トクホの飲料
ペプシ スペシャル 490ml当たり 25mg
キリンメッツコーラ 480ml当たり 48mg
サントリー 黒烏龍茶 100ml当たり 約20mg
ヘルシア緑茶 350ml当たり 80mg
ヘルシアコーヒー 無糖ブラック 185g当たり 90mg
●エナジードリンク
ペプシ エナジーコーラ 100ml当たり 30mg
モンスターエナジー カオス 100ml当たり 40mg
バーンエナジーブースト 50ml当たり 50mg
●その他
キリン ガラナ(北海道限定)100ml当たり 9mg
バンホーテン ミルクココア 100ml当たり 10mg未満
 なお、「太陽のマテ茶」については、日本コカ・コーラのお客様相談室にも問い合わせたのですが、情報を得られませんでした。

 市販のコーヒーなどの飲料は、商品によってカフェイン濃度にかなり違いがあるようですから、メーカーにはカフェイン含有量についてよりわかりやすい情報提供をお願いしたいものです。
 また、エナジードリンクも、カフェイン濃度がかなり高いものがあることがわかりました。例えば、「モンスターエナジー カオス」は355ml入りの缶飲料ですから、1本飲むとカフェインを142mg摂取することになります。欧州食品安全機関の調査では、エナジードリンクは10歳から18歳の若い層で摂取が多いとされています。特に、妊娠・授乳している方や子どもなどについては、こうしたコーヒー以外のカフェイン摂取源についても注意が必要でしょう。

参考:
食品安全委員会 ファクトシート「カフェイン」

東京都 食品安全FAQ(その他の質問)「コーヒーを飲むと胎児に影響があると聞きましたが、本当ですか」

全日本コーヒー協会

執筆者

瀬古 博子

消費生活アドバイザー。食品安全委員会事務局勤務を経て、現在フーコム・アドバイザリーボードの一員。

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