京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動
FOOCOMは食品表示について、食品にかんするさまざまな情報、安全や品質、製造加工への真摯な努力や各事業者の独自性などを事業者から消費者へ直に伝える重要な手段ととらえ、重視してきました。つまり、食品表示は、食品をめぐるコミュニケーションの核となるものです。その法律の一元化について、FOOCOMは10月5日、他の3つの市民団体と共に消費者庁に「公開の意見交換会を」と要望しました。その結果、24日にワークショップとして意見交換会が開かれることになりました。FOOCOMも参加します。
食品表示をもっと消費者にわかりやすくするための「一元化検討会」が昨年、消費者庁に設置されて、Foocom事務局長の森田満樹も委員に任命され、発言をしてきました。森田は、「食品表示にかんする意見は、検討会の場で責任を持って述べたい」と考え、FOOCOMでの情報発信を控え、食品表示に詳しいほかのエキスパートの方々が、一元化検討会については随時、「食品表示・考」で報告してくださいました。
一元化検討会の報告書は8月にまとまりましたが、さまざまな団体等から意見、批判が寄せられているようです。食品表示は、非常に重要な情報伝達のツールですが、それだけに、なにをどう選んで優先して伝えるかの判断は難しい。それはどなたの異論もないところでしょう。議論百出は当たり前です。しかし、そうではあっても、なんとかまとめて一つの方向性を見出さなければならない。一元化検討会は苦労の末に報告書を出しました。批判は甘んじて受けて当然です。
ただし、首を傾げざるを得なかったのは、今年3月の中間報告の段階で意見交換会が開かれたにもかかわらず、報告書をまとめる段階では、市民に説明したり、意見を聞く機会がまったく設けられなかったことです。開かれた政府、消費者のための消費者庁を標榜しているにもかかわらず、なんと中途半端なことか。
ともかく、消費者庁はその報告書を基に、新しい法律を作る準備を進めています。
そうした経緯の中で、一部の団体が阿南 久消費者庁長官と、非公開で意見交換を行うと、一部の報道機関で伝えられました。今、まさに法律が作られつつあるのに、密室で動くのか? 本当だとは思いたくありません。私たちは、公平に開かれた消費者庁であってほしい、と願っています。そのため、FOOCOMはほかの3団体と共に10月5日、「意見交換を行うなら、公開で」と要望書を出しました。
そして10月10日、消費者庁から「阿南長官に要望書をお持ちしたところ、公開で意見交換会をやるようにとの指示がありました」と連絡がありました。とても迅速に、私たちの素朴な思いに、応えていただいたのです。そして24日に「新食品表示法(仮称)に関する消費者団体とのワークショップ」として開催されることが決定し、消費者団体16団体が参加することになりました。
大切な食品表示です。対立し互いの持論を述べてそっぽを向いて終わり、にはしたくありません。なんとかお互いの事情に配慮しながら、少しでも歩み寄りたい。そして、消費者の思いを汲み取った法律にしていただきたい。この機会を大事に活かしましょう。
この間の経緯を、Foocomの記事でご確認下さい。
●「食品表示・考」バックナンバー
小比良和威さん、板倉ゆか子さんの一元化検討会リポート
●食品表示一元化にモノ申す 特定の消費者団体の声に消費者庁どうする?(森田満樹)←9月27日
8月28日に、「食品表示を考える市民ネットワーク」が衆議院議員会館で開いた緊急院内学習会「消費者が求める食品表示」の様子をリポート
●意見交換会をやるなら公開で!消費者庁に要望書を提出しました(森田満樹)←10月7日
消費者庁に提出した要望書内容を掲載
●10月24日に開催される、消費者庁・食品表示のワークショップ(意見交換会)に参加します(森田満樹)←10月20日
24日開催ワークショップの予定を紹介
京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動