GMOワールド
こちらの記事は以前に、日経BP社のFoodScienceに掲載されていた記事になります。
こちらの記事は以前に、日経BP社のFoodScienceに掲載されていた記事になります。
必須アミノ酸やビタミンAとE、鉄や亜鉛分を強化した GMスーパーソルガム開発5カ年計画は、Bill and Melinda Gates財団から1850ドルの援助を受け、9つの研究機関(うち7つがアフリカ在)が、アフリカで進めている巨大プロジェクトだ。しかし、南アフリカ共和国での試験栽培に認可が得られず、足踏みしている。
参照記事1
TITLE: South Africa halts ’super sorghum’ study
SOURCE: SciDev.Net
DATE: July 20, 2006
なお、このプロジェクトの背景と中心的組織であるAfrica Harvest Biotech Foundation International (AHBFI)を率いるケニアのFlorence Wambugu博士については、以前の拙稿を参照願いたい。
Wambugu博士は、バイオ規制法のガイドラインと政策のフレームワークが未整備であるケニアを避け、既にGMトウモロコシとワタの商業栽培が行われている南アフリカにおいて、GMスーパーソルガム温室試験栽培を申請した。直接申請を行ったのは7つの研究機関の一角を占め、南アフリカに本拠を置くThe Council for Scientific and Industrial Research:CSIRである。
しかし、2006年7月12日、南アフリカ農業省は、国内でのソルガムの原種や近縁種への交雑を懸念してこの申請を却下した。この拒絶の理由は、CSIRの試験栽培施設が交雑を充分に防止できるレベルにはないというもので、これらが改善されれば認可は再考されるという含みを残している。
Wambugu博士やCSIRは、バイオセーフティプランを強化した2回目の申請認可に期待しており、06年8月2日のBusiness Day紙によれば、南アフリカ科学技術省次官も、CSIRがGMソルガムの適切な封じ込め対策を明示できるなら申請を再考するとコメントしている。
参照記事2
TITLE: Cautiously sowing the seeds of change
SOURCE: Business Day by Derek Hanekom
DATE: August 2, 2006
さて、バランスのGMOワールドでは、南アフリカでGMソルガム試験栽培が保留されたのと同じ日、ケニア議会が下院議員から提出されたGM食品の生産、販売と消費の全面禁止を求めた動議を却下した。
参照記事3
TITLE: Kenya Rejects Biotech Ban
SOURCE: USAgNet
DATE: August 23, 2006
この票決に至るまでには、去る06年5月に伏線がある。ケニアとマラウイの有力議員団ミッションが南アフリカを訪問し、GM作物栽培の実情視察を行っているのだ。両国議員団は、GM作物が農業生産問題ための可能な解決を提供することを理解し、GM作物商業化に必要なバイオ規制法整備を迅速化することを誓ったと伝えられる。
参照記事4
TITLE: Kenya and Malawi MPs to seek GMO review
SOURCE: Mining Weekly
DATE: August 3, 2006
この記事には記述がないが、この研修ツアーは南アフリカ、ケニアおよびマラウイのバイオ工学推進団体の共同体であるAfricaBioによって組織された。推進・反対を問わず「議員を狙え!」は今やGM戦略の王道となっているようだが、これは推進派による「百聞は一見に如かず」の顕著な成功例だろう。
訂正とお礼:8月28日付 GMOワールド「時期は悪いが〜BASF社のGMジャガイモ英国で試験栽培を申請」の本文中、「potato late blight」の訳語を国際感染症学会メーリングリストの表記に従い「胴枯れ病」と記しましたところ、複数読者の方から日本食物病理学会による和名は「ジャガイモ疫病」であるとのご丁寧な指摘を頂きました。訂正しお詫び致します。また、メールを下さった方たちにお礼申し上げます。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)