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もしもヨーロッパにバイオ作物が導入されたら・・・

宗谷 敏

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今週のトップ記事は、7月2日EU議会がGM食品表示規制強化案を採択したことだろう。

次点は、Codex総会が、日本が議長国を務め00年3月から03年3月まで4回にわたり開催されたバイオテクノロジー応用食品特別部会においてまとめ上げられた「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン案」を国際規格とし採択したこと、及びUSDA(米国農務省)の米国生産予測調査の6月30日付け公表で、米国農家の作付け意向調査では、GM作付け比率が大豆81%、トウモロコシ40%、綿実73%と続伸していることなどである。

上述の3つのトピックは国内紙含め多くの報道がなされており、詳しくは触れない。今週もう1つ注目したいのは、NCFAP(食糧・農業政策ナショナルセンター)という米国の民間調査機関が「Bio 2003」において発表した、バイオテクノロジーはヨーロッパにおいて拡大する可能性があるというレポートに関する記事である。
このレポートでは、すでにスペインにおいて小規模商業栽培が行われている害虫抵抗性トウモロコシをはじめ、除草剤耐性サトウダイコン及び耐病害性ジャガイモのGM3品種に関するケーススタディを取り上げているが、いずれも生産量の増加や農薬使用量など生産コスト削減による農家収益の改善が見込まれるという結論が導き出されている。
これらGM3品種の栽培可能面積ではフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国などが大きく、農薬削減による経済的効果はドイツ、フランス、英国、オランダ、ベルギーなどで顕著である。農家収益増加が多く見込まれる国としてはフランス、ドイツ、イタリア、オランダ、英国などが挙げられている。
3品種全体としては、445.1万ヘクタールの栽培が可能であり、トウモロコシ及びサトウダイコンでは各5%、ジャガイモでは2%の増収が見込まれ、それらの合計は780万トン、収量増加や9774トンに達する農薬コスト削減による経済的メリットは合計10億ユーロ(約1兆4000億円)と見積もられている。
また反収増が見込まれることに伴い、現在の収量を維持したまま農地の他用途への転用も可能という諸国の事情によってはなかなか魅力的なバリエーションも提案されている。
なお、NCFAPはGM開発企業やBIO(バイオ技術産業団体)の資金提供を受けてこの調査を実施していることは断っておくべきだし、数値の妥当性には異論もあろう。ただ、GM作物が栽培された場合、ヨーロッパが受ける影響に関して、具体的に計数化されたのは初めてのことだそうだ。この研究は継続されており、来年には15件のケーススタディが公表されるという。(宗谷 敏=GMOウォッチャー)