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拒絶状フロムカナダ〜荒れ模様のカルタヘナ議定書締約国会議

宗谷 敏

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 カルタヘナ議定書第2回締約国会議は、来る3月30日からカナダのモントリオールにおける開催が予定されている。これを巡って、早くも大荒れのムードが漂っているので、今週はその話題から。なお、去る04年3月、第1回締約国会議について記したので、こちらも併読願いたい。

 背景から述べれば、相変わらず最大の論点は、議定書の第18条(遺伝子組み換え生物等の)「取扱、輸送、包装、表示」に関する詳細な要件の検討であり、就中第2項(a)「食料若しくは飼料として直接利用し又は加工することを目的とする改変された生物(FFPいわゆるコモディティ)に添付する文書」である。

 第2回締約国会議での難航が予想されたこの部分に関しては、去る3月16日から18日までモントリオールにおいて、81の国や機関から160名が集まり予め専門家会合が持たれた。ところが、米国など輸出国と途上国やEUとの溝は埋まらず、議長による必死の裁定も空しく、有効な結論は得られないまま会合は挫折した。

 環境安全性がテーマということもあるが、そもそもこの会議ではEUの援護射撃を受けて途上国グループの勢いが強く、議定書を批准していない米国や豪州勢が中心の輸出国を圧倒している。その明白な理由の一つは、途上国グループのオピニオンリーダーであるエチオピアのTewolde Berhan Gebre Egziabher博士の力に与るところ大である。博士に関しては、03年11月の拙稿も参照願いたい。

 そして、このEgziabher博士を巡って事件は起きた。カナダ政府が、博士への入国ビザ発給を拒否したのだ。プライバシーにかかわるからと理由は明らかにされていないが、これでは博士はモントリオールに来ることが出来ない。

 このカナダ政府の措置に対し、一部環境活動家グループは締約国会議をボイコットするなどと、怒りをあらわにしている。もう一つカルタヘナ議定書がらみでは、日本と共に最大の穀物輸入国である中国が4月27日に議定書を批准したと発表した。

 ともかく、03年9月11日に発効したカルタヘナ議定書は、2年後に当たる今年9月には実行されなくてはならない。それが困難なら、議定書自体の存在理由も問われかねない訳で、誰もが後には引けない状況にある。従って、モントリオールはバトルロワイヤル状態で、大荒れになりそうだ。

 ところで、先々週EUのGMO認可手続きの進捗に関して触れたが、こちらも目まぐるしく動いているのでフォローしておく。

 5月17日、Pioneer Hi-Bred International 社とMycogen seeds 社のGMトウモロコシ1507の輸入と動物飼料使用及びMonsanto社のGMトウモロコシMON863の食品加工原料使用を認めるか否かの投票を行ったEU加盟国専門家で構成される食品・飼料委員会は、いずれについても既定の票数に達せず認可に失敗した。

 1507への賛成は、ベルギー、英国、エストニア、フィンランド、フランス、スウェーデン、チェコ及びオランダの8カ国。反対は、オーストリア、キプロス、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ及びポーランドの9カ国で、残りの7カ国は棄権した。

 一方、MON863への賛成は、ベルギー、英国、ドイツ、フィンランド、フランス、アイルランド、ポーランド、スウェーデン、チェコ及びオランダの10カ国。オーストリア、ギリシャ、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ及びポルトガルの8カ国が反対に回り、デンマーク、エストニア、ハンガリー、スロベニア、スロバキア及びスペインは棄権、キプロスは会議を欠席した。

 5月20日、EFSA(欧州食品安全庁)は、Syngenta社の害虫抵抗性トウモロコシBt11の域内栽培に肯定的な判断を与えた。EFSA としては、3月4日のGMトウモロコシ1507に続く二番目の肯定的決定であるが、EUの複雑な栽培承認手続きの第一歩に当たる。

 なお、6月6日に投票予定だった1507の域内栽培の可否にかかわる環境放出専門委員会は、延期されたとのニュースもある。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)