GMOワールド
こちらの記事は以前に、日経BP社のFoodScienceに掲載されていた記事になります。
こちらの記事は以前に、日経BP社のFoodScienceに掲載されていた記事になります。
2010年2月23日、ISAAA (国際アグリバイオ事業団)は、2009年の世界のバイテク農作物商業栽培状況に関するプレスリリース とサマリー およびハイライト を公表した。
世界のバイテク農作物商業栽培面積は、1億3400万ha(ヘクタール)を記録し、前08年の1億2500万haから7%増加(08年は9.4%増)した。栽培国は前年と同じ25カ国だが、ドイツ(トウモロコシ)が落ち、代わりにコスタリカ(ワタとダイズ)が加わり、中・南米が10カ国を占めたことが目立つ。
国別の栽培面積では、(1)米国の6400万ha(世界総面積の47.8%)を筆頭に、(2)ブラジル2140万ha(同16.0%)、(3)アルゼンチン2100万ha(同15.7%)、(4)インド840万ha(同6.3%)、(5)カナダ820万ha(同6.1%)、(6)中国370万ha(同2.8%)、(7)パラグアイ220万ha(同1.6%)、(8)南アフリカ210万ha(同1.6%)、(9)ウルグアイ80万ha(同0.6%)、(10)ボリビア80万ha(同0.6%)が上位10カ国を形成する。
これらにフィリピン50万ha、オーストラリア20万ha、ブルキナファソ10万ha、スペイン10万haおよびメキシコ10万haを加えた15カ国がISAAAの定義するメガ栽培国(5万ha以上)に相当し、残りの10カ国は、チリ、コロンビア、ホンジュラス、チェコ共和国、ポルトガル、ルーマニア、ポーランド、コスタリカ、エジプトおよびスロバキアだ。
EUのBtトウモロコシ栽培面積は80%の7万6057haを占めるスペインを筆頭とする6カ国だが、ドイツの撤退により9万4750haと前年の10万7719haから12%下落した。一方、発展途上の7カ国が目立った増加率を示し、特にブルキナファソ1353%、ブラジル35%、ボリビア33%などが顕著であり、EUの落ち込みは中・南米諸国を中心とする伸びによってカバーされた形になった。
作物別の割合では、ダイズが52%の6920万h(前年6580万ha)、トウモロコシが31% の4170万ha(同3730万ha)、ワタが12% の1620万ha(同1550万ha)、ナタネが5% の640万ha(同590万ha)であった。
トレイト別では、除草剤耐性が62%の8360万ha(前年7900万ha)を占め、複数のトレイトを併せ持つスタックが21%の2870万ha(同2690万ha)と躍進し、害虫抵抗性は15%の2170万ha(同1910万ha)と報告されている。
25カ国で1400万人(前年度は25カ国1330万人)の農家がバイテク農作物を作付けたが、その93%に相当する1300万人は、発展途上国の農家であった。ISAAAは、15年までに40カ国2000万人の農家が2億haにバイテク農作物を栽培すると予想する。(ISAAA報告の概要終わり)
さて、こちらも恒例となったFriends of the Earth Internationalからの対抗報告書Who benefits from GM crops も、10年2月23日に発表された。しかし、さすがに飽きられたのか、メディアのカバー数は年々減少の一途を辿っている。まあ、来年も(ISAAA報告書が継続する限り)意地と根性でFOEIも継続発表するのであろうが。
昨年、一昨年 と、これら2つの報告書に対して筆者は厳しい見方を示したが、今年もそれはあまり変わらない。しかし、それらの理由を繰り返すことにはいささか疲れたので、米国コロンビア大学が資金提供し、各報道機関のパフォーマンスを調べているジャーナルからの論考(のリード)に代弁させたい。タイトルと書き出しを見れば、言いたいことは明瞭だろう。
http://www.cjr.org/feature/seeds_of_change.php
TITLE: Seeds of Change? Why we need independent data on genetically modified crops
SOURCE: the Columbia Journalism Review, by Georgina Gustin
DATE: Feb. 25, 2010
ちなみに、10年2月26日に東京で開催されたCBIJ(バイテク情報普及会)主催のISAAAレポート報告会を、筆者は傍聴しなかった。自身の都合もあったのだが、会場まで出かけて行って「相変わらずブル(強気)だね〜、Clive!」などと言わずとも、ISAAAのサマリーやハイライトに目を通しただけでClive James氏が述べるであろうことは、あらかた察しがついてしまったからでもある。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)