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GMOワールド

EUはオトナの社会たりうるか?

宗谷 敏

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今週は、EUにおいてGMO(遺伝子組み換え作物)を巡る画期的な動きがあった。7月22日、EU農相理事会は安全性認可及び表示を条件に、GM食品・飼料の域内流通を認める法案を承認。

この法案は、トレーサビリティ及び表示という2つのキーワードに集約され、域内の消費者に選択の自由を与えると同時に5年に及んだGMモラトリアム解除へのステップという一面も併せ持つ。
参照記事
TITLE:EU Ministers Endorse New Biotech Rules
SOURCE:AP by Constant Brand
DATE: July 22,2003

7月23日、欧州委員会は、上記法案を担保するためのGM農作物と在来農産物及び有機農産物との共存を図るガイドラインを公表。フィッシュラー農業委員は、いかなる地方政府も加盟国政府もGMOを栽培しない地帯を導入することはできない(ただし、農家が自主的にGMOを栽培しない自由は認める、つまりGMO作付け禁止という司法介入は一切認めない)と述べて、物議を醸した。
参照記事
TITLE: EU Backs Farmers Who Want to Grow GMO Crops
SOURCE: Reuters
DATE: July 24,2003

たしかに正統性という概念からは美しい理想主義的法案であり、時にガキ大将的な一面も露呈する米国の主義主張に比べれば、スマートなオトナのガイドラインである。しかし、ヤギならぬヒトは紙を食べては生きられないし、コストという現実的対価も無視しえない。
そして、いずれも「実行できてナンボ」の世界。欧州委員会や加盟各国の実行可能性に対する技量、自由というある面厳しい自己責任を与えられた消費者や農家の成熟度に注目したい。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)