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農家の支持がカギ、カナダGM小麦

宗谷 敏

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CWB(カナダ小麦局)は、カナダ・モンサント社に対し除草剤耐性GM小麦の試用に関する申請を取り下げるよう打診した。輸出先顧客の80%以上がGM小麦に不安感を抱いている現状では、カナダ農民の何億ドル規模の損失につながりかねないという懸念によるもの。

現在世界各国で大規模に商業化されているGM作物は、大きなくくりではトウモロコシが飼料穀物、ダイズとナタネは油糧作物、コットンは繊維原料(綿花)となる。純食糧である小麦の組み換えに対する消費者や加工業界、有機栽培農家などの抵抗感は根強く、モンサント社は立ち往生している。
上述の商業化済みGM作物の場合にも様々な抵抗はあったが、生産者による圧倒的な支持がそれらを上回り、年々栽培面積が拡大してきた。その農家の支持が得られないのでは、モンサント社も苦しい。
ブレークスルーの一つは消費者サイドに明瞭にメリットを提示できる産品の開発だろうが、一朝一夕に可能なものではない。しばらく我慢の時期もやむを得ないのだろう。 なお、シンジェンタ社は英国及びドイツにおいて、限定的ながら耐病性小麦の試験栽培に対する認可を4月に受けている。(宗谷 敏=GMOウォッチャー)