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GMOワールド

闘う英国ブレア政権

宗谷 敏

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GM食品・農産物に対し、概して否定的なEU諸国の中で、英国ブレア政権のスタンスは一線を画す。自ら有機農場経営を行うチャールズ皇太子や、いくつかの地方州政府が有力な反対勢力を形成するにもかかわらず、環境影響を調べる圃場栽培試験に取り組み、反対派活動組織や近隣農家との間で摩擦を繰り返している。

政府側の消費者受容に向けたプロパガンダも盛んであり、6月には全国ベースのパブリックディベートが計画されている。これに先立ち4月には食品基準庁(FSA)主催の市民陪審団が、GM食品を市販すべきとの結論(15名中9対6)を出した。さらに今度は王立科学学会が、GM食品は従来の食品に比べて有害であるという証拠はないとの見解を公表した。科学的証拠を提示せずに潜在的リスクを喧伝すると、グリーンピースを名指しで批判するコメントまで添える徹底振りだ。
確かにGM食品の安全性に関して、真っ当な否定的科学論文は存在しない。我が国でも国会審議中の食品安全基本法に準拠し、食品安全庁が設置される。仮にGM食品のリスクアナリシスをサイエンスベースで行えば結果は明らかだろう。この場合、消費者の懸念といういわば「情」の部分は、どのように評価もしくは処理されるのか、なかなか興味深い。(宗谷 敏=GMOウォッチャー)

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