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連載陣とは別に、多くの方々からのご寄稿を受け付けます。info@foocom.netへご連絡ください。事務局で検討のうえ、掲載させていただきます。お断りする場合もありますので、ご了承ください
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「介護食品のあり方に関する検討会議」が昨年10月、農水省に設置され、議論が行われています。これは、昨年2月から7月にかけて開かれた「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」を受けて、具体策を検討するものです(私も、論点整理の会には委員として参加しました)。
4つのワーキングチームが動く予定ですが、まず「定義に関するワーキングチーム」が「いわゆる介護食品の定義に関する考え方」の案をとりまとめ、パブリックコメントを募集中です(2月14日まで)。一般的な意見募集とちがい、もっと良いアイディアがあれば聞かせて欲しいといったスタンスです。
案ではまず、介護食品の範囲を示しています。これまで介護者の視点で捉えられてきた物を利用者の視点で捉え直し、「食べることに関して問題がある」という視点で捉え直す必要があるとしています。今まで介護のプロが使うものであったものを家庭で使用する身近な食品として捉え直す必要があるということだと思います。そこで身体機能とか「低栄養」とはどういう状態なのか、それが今後どのような悪影響を及ぼすかも示すのが適当としています。食べることに関して問題があることについて、その原因に応じた利用目的での分類を行い、利用目的ごとに「○○食(品)」として、利用者が食品を選択できるような形で示すことが適当であるとしています。
分類については本人の状態を次の4つに分類しています。
A:食機能にも栄養状態にも問題がない
B:食機能に問題はないが、栄養状態が不良
C:食機能に問題があるが、本人または家族の食内容や食形態の工夫により栄養状態は良好
D:食機能に問題があることから十分な栄養が摂られていない
この中のB、C、Dの状態が介護食の対象でありその原因に応じた利用目的ごとにどういう食(品)があるのかについて示していくことが必要としています。咀嚼支援食(品)、摂食嚥下支援食(品)、食事回復支援食(品)、栄養改善食(品)といった感じで考えられているようです。
介護食品の範囲からイメージされる名称は利用者側の視点に立ち、利用者のニーズに対してはこれと分かるような、親しみやすく、定着しやすいネーミングにしていくことが必要とされています。
私が良かったと思うのは、分類から医師等の判断のもとに提供される治療食や病院食を外したこと、カプセルや錠剤も、利用者の状態によって使用量が異なったり、過剰摂取のおそれもあることから、対象外としたこと、食品を手にいれることが困難で栄養状態が良くないケースも、環境整備の中で扱うべき問題として外すとしたことで、「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」のまとめた論点が活かされています。
実際にスーパーで売られている「いわゆる介護食品」であろうと思われる物を買って食べてみることにしました。
形態としてはレトルトパウチ食品が多く、目に付くのはユニバーサルデザインフードのマークでした。カップ状の食品やフリーズドライ、そのものを単独で食べるのではなく嚥下を助けるための食品、自宅にある食品を食べやすくする食品など様々です。ぱっと見て食べてみたいものを買いました。
ところが、一つの食品は期待を裏切られました。たしかに軟らかくて咀嚼に心配があっても食べることが出来そうだし、容器などにも多少の配慮はありましたが、それだけで説明の文字も小さいし、味が単調でした。もう一品は咀嚼に心配があっても問題ないし、しかも美味しいのですが、使い勝手に工夫が欲しい。そしてどの商品も、どういう状態の人に向けての食品か判りづらい。咀嚼支援なのか、そればかりでなく栄養改善食としても考えられているのか、わからないのです。ですから、今回の「いわゆる介護食品の定義に関する考え方」がしっかり位置づけられれば利用者にはぐっと使い勝手がよくなると思いました。
食事を提供する人もある程度高齢であることを考えると、使い勝手のさらなる工夫が必要だと思います。今回試した食品の中に湯煎で温めると切り口から上手く切ることができないものがありました。熱した食品でやけどすることも考えられる訳ですから、配慮が欲しいです。使い方の説明の文字がどれも小さくて読みづらいので、わかりやすくする工夫が必要です。
表示・規格に関しては今後の議論のポイントになっているようですが、堅さに関しては「歯ぐきでつぶせる」と「舌でつぶせる」のちがいは、表現が難しい。「歯ぐきでつぶせる」と表示されているけれど健康体な私が食べると舌でもつぶすこともできました。家庭で使う場合、食べる人に試食してもらえるようにすることも今後開催される予定の、提供に関するワーキングの課題だと感じました。
今後ますます市場が拡大して大手の事業者ばかりでなく多くの事業者が参入してくる可能性があることを考えると製品としての安全性確保も必要だと思います。衛生管理については「日本ベビーフード協議会」が自主的な規格の中で規定していますが、そのような取組みも必要ではないでしょうか。
今後の議論に期待したいと思います。
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